私の足跡
鷹匠橋の軌跡
中田代理人
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荻野副社長
2024
03
Special content
鷹匠橋の軌跡
鷹匠橋の橋梁耐震補強工事は、地域のライフラインを守るための重要なプロジェクトです。このプロジェクトにおいて、自然との戦いや厳しい納期などの様々な課題に挑むプロフェッショナルたちの努力が光ります。今回は、熟練建設人の中田代理人と荻野副社長にお話を伺い、その挑戦と成果について詳しくお聞きしました。彼らの語る、地域を支える責任と誇りが詰まったプロジェクトの舞台裏に迫ります。
どんな工事内容ですか

中田代理人
橋梁の耐震補強工事という名目で、既存の橋脚の周りにD51という太い鉄筋を巻き立て、吹付材で補強するという工事内容です。この補強により、地震による揺れにも耐えられるように強化しています。さらに、老朽化による劣化を防ぐための防錆処理も行い、安全性を高めることを目指しています。
橋梁ということは、脚も川の中にあるので、川の中で工事を行うのですか?

荻野副社長
そうです。川の中での工事となるため、まず川の水が入らないように締切(しめきり)を行います。これにより、工事エリアを水から隔離して作業が可能になります。しかし、増水や台風などの自然環境の変化に対応しながら工事を進める必要があります。既に完成している橋の工事であるため、高さ制限や作業スペースの制約などがあり、新規で建設する場合に比べて難易度が上がるのが今回の工事の特徴です。
現場で起きた印象的な出来事はありますか?

中田代理人
増水で締切が流されてしまったことが非常に印象的でした。どんなに準備をしても、自然相手だと予測を超える事態が発生することがあります。私たちは常にリスクを想定し、その対策を講じていますが、予期せぬ事態が起こることもあります。そのため、現場での対応力が試される瞬間でした。
水が入ってしまったら、工程をやり直さなければならないこともあるのですか?

中田代理人
はい、そうですね(苦笑)。河川工事では、水の影響を受けやすいため、増水によって締切が破損した場合は、再度工事のやり直しが必要になることもあります。そのため、天候予測や水位管理を綿密に行い、できる限りの対策を講じています。しかし、自然の力は予測を超えることがあり、完璧な準備をしていても100%の安全を確保するのは難しい面があります。

荻野副社長
実際、今回の工事は11月に開始して3月に完了する予定でしたが、予期せぬトラブルもあり、最終的には4月初頭までかかってしまいました。元々の工期設定もかなりタイトだったため、トラブルに対処しながら、なんとか期限内に仕上げるために全力を尽くしました。
工期を短縮するためにどのような努力をされたのですか?

荻野副社長
工法の改善案を提案したり、甲斐組グループの組織力を活かして柔軟に対応しました。例えば、山留めの工法を改良し、従来よりも頑丈で施工がしやすい方法を採用しました。この工法により、工期の短縮と安全性の向上が図れたため、お客様にも非常に喜んでいただけました。また、グループ内で様々なチームが連携し、人材を適切に配置することで、工期を短縮しつつ品質を保つ努力をしました。

中田代理人
私は現場監督として、荻野副社長と協力しながら、お客様に対して様々な提案を行いました。荻野副社長は常に新しいアイデアを出してくださり、その柔軟性と創造力には感心しています。現場の制約や限られた予算の中で最良の解決策を見つけるために、日々努力を重ねています。

荻野副社長
私たちの仕事は、限られた資源の中でいかに効率よく、そして高品質な成果を出すかが問われます。お客様にとってもコストパフォーマンスが良い提案を行うことで、信頼を得ることができると感じています。特に、今回のような難易度の高い工事では、工法の改善や新しい技術の導入が求められる場面が多く、それが実現できたときに大きなやりがいを感じます。
おふたりが今の建設業に感じていることを教えてください。

荻野副社長
建設の現場は確かに大変なことが多いです。外部の人から見ても、危険で汚れやすく、体力的にも厳しいというイメージがあるかもしれません。しかし、その中にもやりがいがあります。特に、職人の技術を次の世代に伝えることは非常に重要です。ICTを活用し、技術継承を効率化することで、若い世代にも建設業の魅力を伝えていきたいと考えています。また、今後は現場で活躍する女性も増えてくると期待しています。

中田代理人
かつては建設業界が「3K」と呼ばれる時代もありましたが、現在は働きやすい環境が整ってきています。特に甲斐組では、休暇の取りやすさや職場環境の改善に努めており、新人も安心して働ける環境です。建設業界全体がイメージアップを図り、より多くの人材が集まるようになればいいと思います。また、ICT技術にも興味があり、機会があれば積極的に挑戦してみたいと考えています。
結びに
現場での課題をチームワークと知恵で乗り越えていくお二人の姿は、まさにプロフェッショナルの仕事そのものです。こうした専門家たちの努力が地域のライフラインを支えていることを、私たちが日常的に利用する道路や橋を見るときに思い起こすべきでしょう。お二人のような建設人材が地域を支え、さらに安全で快適な生活環境を提供していることを心から感謝したいと思います。
PROFILE
中田 泰仁
土木工務部 次長補佐
入社8年目で2級土木施工管理技士の資格をもつ若手の中でも実力者の中田さんです。日々、あらゆるリスクを考え安全第一に業務にあたっています。新しい技術にも興味があり積極的チャレンジする中田さんは1級土木施工管理技士を目指しながら、毎日現場で頑張っています。
荻野宏治
取締役副社長 事業統括
株式会社甲斐組に平成2年入社し30年以上のキャリアをもつ、建設のプロフェッショナル。現場の状況、費用、納期など様々な制約があるなかで工法などを工夫し、仕事を完遂させる。建設関連事業を統括し各グループの調整を行う重要なポジションの方です。
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